1. トップページ >
  2. 物件タイプ別のポイント >
  3. 事故物件のマンションを売るには?価格相場や告知義務について

事故物件のマンションを売るには?価格相場や告知義務について

このエントリーをはてなブックマークに追加
事故物件

マンションを売却するとき、そのマンションが事故物件扱いになるケースがあります。

事故物件になると、売買の相手に対して誠実にそのことを告げなければならないという「告知義務」が発生します。

事故物件とはどのような物件で、告知義務を守らないと、どのような問題が発生するのでしょうか?

今回は、事故物件のマンションを売るときの告知義務や、事故物件の価格相場について、解説します。

事故物件とは?

そもそも事故物件とはどのような物件なのでしょうか?

事故物件は、何らかの「瑕疵」を抱えた物件のことです。瑕疵というのは、傷や欠陥を意味します。

事故物件の瑕疵には、物理的瑕疵と心理的瑕疵があります。

物理的瑕疵とは、物件が抱える物理的な欠陥のことです。たとえば、雨漏りがしたり、シロアリが巣くっていたり、傾きがあったりする場合です。

これに対し、心理的瑕疵とは、通常の人が住みたくないと考える要因があることです。たとえば、過去に自殺者が出た場合が典型例です。

(物理的瑕疵の例)
・雨漏りがする
・シロアリが巣くっている
・立て付けが悪い
・建築基準法違反
・傾いている

(心理的瑕疵の例)
・過去に自殺者が出た
・過去に殺人が起こった
・過去に火災や放火があった
・物件の周辺に葬儀場、火葬場、原子力発電所、下水処理場、産業廃棄物処理場などの「嫌悪施設」がある
・物件の周辺に暴力団事務所がある
・物件が以前風俗店や事務所に利用されていた

告知義務について

事故物件を売却するときには、「告知義務」に注意が必要です。

告知義務とは?
一般に、不動産を購入するときは、瑕疵のない完全な物件を希望します。

そこで、売主は買主に対して、購入するかどうかの判断材料をきちんと提供するために、事故物件であることを伝えなければいけません。きちんと言っておかないと「詐欺」だと言われる可能性があります。

このように、契約の相手方に、その物件が事故物件であることを告げる義務のことを、「告知義務」と言います。

事故物件であることを相手に告げると物件価格を安く設定せざるを得ないので、告知したくないと考える人もいるかもしれません。しかし、告知しないでいると、相手から損害賠償をされたり、契約を解除されたりするおそれがあります。

宅建業法上の告知義務違反
告知義務は、宅建業法においても定められています。

宅建業法15条では、物件に瑕疵がある場合、重要事項説明として、宅建業者は不動産の買主や借主に対して説明をしなければならないとされています。

宅建業者が告知義務を怠った場合、説明義務違反や不法行為責任を問われて、買主や借主から損害賠償請求を受けることになります。

告知義務の範囲と程度について
事故物件には告知義務があると言っても、その範囲と程度はどうなっているのでしょうか?

以下では、具体的にどういった場合に告知義務が発生するのか、説明します。

・どのような事実があると、告知義務が発生するか?
まず、どのような事実があると告知義務が発生するのかという問題があります。

物件内で自殺や殺人などがあった場合に、告知義務が発生することは明らかです。

これに対し、物件内で自然死が起こっても、一般的に告知義務が発生しないと考えられています。ただし、自然死の場合であっても、死亡後長期間放置された場合には告知義務が発生します。

また、マンションの一室の売買や賃貸の場合、その室内での事件や事故では告知義務が発生することが明らかですが、他の部屋で事故が発生した場合はどうなのでしょうか?

一般的に、隣の部屋で事件や事故が起こった場合には告知が行われます。それ以外の部屋で事故があった場合や、マンション屋上からの飛び降り自殺があった場合には告知義務がないと考えられています。

ただし、マンション一棟を売買する場合には、飛び降り自殺についても告知義務が発生します。

・何年経ったら告知義務がなくなるのか?
次に、告知義務は事件や事故後、どのくらいの期間が経過したらなくなるのでしょうか?

この点について、法律によって明確に「〇年」と定められているわけではありません。

賃貸と売却により、告知義務の期間が異なると考えられていて、一般的に、売却の方が長期間告知義務が残ると考えられています。

売買の場合、物件内で死亡事故があった場合、告知義務の期間はだいたい5~6年程度となります。一方、賃貸の場合は、だいたい2~3年程度になります。

・いったん人が入居したら告知義務がなくなる?
物件内で死亡事故や殺人が起こっても、その後いったん人が入居して、生活をしたらどうなるのでしょうか?

この場合、嫌悪感が軽減されるため、基本的に告知義務がなくなると考えられています。

自分が所有している間に物件内で事故や事件が起こったとき、物件を売却するには告知義務が発生します。これに対し、前の所有者が所有していたときの事件や事故までを、次の購入者に告知する必要はないということです。

賃貸の場合も、いったん賃貸人が入居して物件内で生活をしたら、その次の賃借人に対する告知義務はなくなります。ただし、入居した賃借人の入居期間が極端に短い場合には、告知義務が残ると考えられています。

以上のように、告知義務の範囲や期間については、自分では判断しにくいことが多くあります。分からないことがあれば、専門家に相談するようにしましょう。

告知義務があるのに告知しないとどうなる?

告知義務

過去に物件内で事故や事件が起こった場合、基本的に告知義務が発生します。

しかし、告知すると物件価格が相場よりも低くなってしまう上に、購入希望者を見つけるのも困難になります。

もし告知義務を守らず、相手に隠して、通常の価格で売却すると、どのような問題が発生するのでしょうか?

この場合、売主に説明義務違反による債務不履行や不法行為が成立するので、買主から契約を解除されて、さらに損害賠償請求をされてしまうおそれがあります。

過去に実際に問題になった事例を紹介します。

過去にマンションで自殺があったことを告げなかった事例
過去の裁判例で、マンションで自殺があったことを告知しないまま部屋を賃貸した事例で、賃借人が大家に対し、契約の解除を行った上、144万円の損害賠償請求をした事案があります。

このケースで裁判所は、賃借人による損害賠償を認め、賃料や慰謝料を含めて104万円の支払い命令を出しました。(神戸地裁尼崎支部平成23年10月28日)

過去に強盗殺人があったことを告げずに売却した事例
売買契約の事例で、買主が「過去に事件や事故はなかったのですか?」と尋ねたにもかかわらず、売主が買主に対し、過去の強盗殺人事件(7年前)について告知をしなかったケースがあります。

この事例では、裁判所は売主の行為が不法行為に該当するとして、売主に対し、物件の売買金額と事故物件であることを前提とした価格の差額である2500万円と慰謝料500万円、弁護士費用300万円の合計3300万円の支払を命じました。

過去の事件内容が強盗殺人事件というショッキングなものであったことから、事件後7年が経過していても、なお告知義務が残ると判断されています。(神戸地裁平成28年7月29日)

過去に性風俗営業が行われていたことを告げなかった事例
売買の事案で、過去に室内で性風俗営業が行われていたことを告げなかった事案があります。

この件でも、心理的瑕疵があると認められ、売主と仲介業者に対して100万円の支払い命令が下されています。売主について瑕疵担保責任に基づく損害賠償責任、仲介業者について説明義務等違反が認められたのです。(福岡高裁平成23年3月8日)

以上のように、事故物件を売却する際には、告知義務が発生するかどうかを見極め、告知義務が発生する場合は、きちんと告知しなければなりません。

隠そうとすると、後で契約の解除や損害賠償請求をされ、大きな問題に発展します。たとえ物件価格が下がるとしても、誠実に対応することが大切です。

事故物件の価格相場は?

最後に、事故物件の価格相場はどうなるのでしょうか?

事故物件の場合、問題を抱えているので、同じような条件の類似物件よりも、価格が安く設定されます。

ただし、事故物件の相場はケースバイケースで、相場はあってないようなものです。

通常の相場よりも10%の減額ですむこともあれば、50%以上減額することもあります。

自殺なのか他殺なのかといった事故の内容や、事故発生からの経過年数、さらにはもともと人気マンションなのかどうか、といった諸条件によって、通常の相場からの値下げ幅も大きく変わってきます。

事故物件は20%減額など、値下げ幅を断定しているようなネット記事もありますが、上記のとおり、状況に応じて値下げ幅は変化します。

人気マンションであれば、もともと多くの人が興味をもっていて、そのなかには事故物件であることを気にしない人もいます。事故の内容も軽度のものであれば、10%程度の減額で売却できる可能性は十分あります。

一方で、人気マンションでなく、事故内容が凄惨なものであれば、興味をもつ人も極端に少なくなるため、50%以上減額しなければ売却できないこともありえます。

事故物件の売却は、購入する人がどういう印象をもつのかといった不確定な要素に左右されるため、徐々に値下げしながら様子を見るのが現実的な方法です。

このエントリーをはてなブックマークに追加

ページトップに戻る